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痛みを緩和する上で重要な視点は次の二つです。
① 痛む場所に原因がない「関連痛現象」をチェックする。
② 痛みの連鎖反応をたどり、痛みの元に迫る。
「関連痛」についてはトリガーポイント研究所の本文で詳しく述べていますので、
そちらを参照して下さい。 「関連痛」ってなに?⇒
さて、二つ目の視点の「痛みの連鎖をたどる」という事について考えてみたいと思います。
身体は内外の変化や障害に対して、ユニットとして対応しますので、
身体のどこかにトラブルが発生すると身体全体に何らかの変化が生じます。
その変化には一定のパターンがありますので、
変化をチェックすることでどのような連鎖が起きているかを推定することができます。
例えば、大胸筋や小胸筋にトラブルが発生し、筋の緊張やトリガーポイントが生じた場合、
上背部の筋が引っ張られて緊張するという連鎖が生じます。
背部に凝りや痛みを感じるようになり、その部位を指圧したりマッサージしてもらうと
とても気持ち良く感じますし楽になってきます。
しかしその効果は一時的で、またすぐに凝りや痛みを感じるようになります。
これは背部の緊張が胸部の筋のトラブルによって引き起こされた二次的なものだからです。
この場合、痛みや凝りは背部で感じていても、胸部の筋を処理することで、
背部の筋に触れることなく背部の緊張は緩和します。
そこで、背部の筋は「子ガメ」で胸部の筋が「親ガメ」と考えて下さい。
親ガメ(胸部の筋)がこけたら子ガメ(背部の筋)もこけるのです。
さらに背部の筋の緊張によって後頭部に痛みを感じていたとしましょう。
この後頭部の痛みは「孫ガメ」にあたります。
後頭部が痛むからとマッサージすると確かに気持ちいいし、痛みも緩和してきます。
しかしその効果は一時的で、またすぐにほぐさなければならなくなります。
このような連鎖の時は「親ガメ」である胸部の筋を弛めると
「子ガメ」も「孫ガメ」もこけて、後頭部の痛みは楽になります。
このように障害の連鎖を把握することは痛み治療において重要な要素です。
いま痛みを感じている所だけにとらわれず、連鎖をチェックして、
元となっている障害に近づいて行くことが大切です。
~猫背を引き起こし様々な症状へと連鎖する~
トリガーポイント研究所には様々なご相談が寄せられますが、
腰痛に次いで多いご相談が首や肩の症状です。
首や肩の症状には胸部の筋の影響が大きいのですが、
セラピーにおいて「胸部」の治療は軽視されているように思います。
胸部には「大胸筋」「小胸筋」「鎖骨下筋」などがありますが、
これらはいずれも腕や肘、手や手指まで痛みを放散したり、しびれ感を生じさせたりします。
また、「大胸筋」や「小胸筋」が緊張しますと、肩が前方に引っ張られて、猫背気味となります。猫背になりますと首が前傾した状態となり、首周囲や肩の筋肉に過負荷が掛かるようになります。皆さんも肩を前に突き出して猫背になってみて下さい。首が真っ直ぐになりにくくなるのを感じるでしょう。
この姿勢の為、首や肩が凝りやすくなりますし、首や肩の筋は「めまい」「ふらつき」「頭痛」「顎の痛み」「耳鳴り」など様々な症状を引き起こします。また気分の落ち込みにも関与していて、うつ的な症状も現れてきます。つまり症状の連鎖が始まると言うことです。
その意味で胸筋のマッサージをして緊張を緩め、自然と首が真っ直ぐになる姿勢を保つようにする事は重要です。
下図は大胸筋のトリガーポイントを表していますが、大胸筋は上腕骨-鎖骨、上腕骨-胸骨、上腕骨-肋骨につながっています。この図を見ながら、腕から鎖骨にかけてのライン、腕から胸骨にかけてのライン、腕から肋骨にかけてのラインをマッサージされて下さい。
イラスト図 出典:『Myofascial pain and Dysfunction The Trigger Point Manual』 より引用
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の考え方を取り入れた
整体講座を開催する運びとなりました。
トリガーポイント研究所には、痛みで困っている方々から
毎日、メールやお電話を頂いておりますが
そのほとんどが重症の方ばかりです。
トリガーポイント治療ができる医療機関や治療家の方をご紹介したいのですが
MPS研究会で紹介されている医療機関は全国で19ヶ所しかありませんし
トリガーポイントの視点で治療されている方の情報は残念ながら持ち合わせていません。
そこで何とか治療家の方々のネットワーク作りをしたいと思っていた矢先に
このようなお誘いを頂き、本当にありがたいと思っております。
今後、各地でトリガーポイント整体法の勉強会や講座を開催できれば
痛みで困っておられる方のお役に立つネットワーク作りができると思っています。
今回行いますトリガーポイント整体講座の募集要項は
下記のサイトでご案内しています。
関西地区の治療家の方々のご参加をお待ちしております。
トリガーポイント整体講座 募集要項⇒
ぎっくり腰を起こして以来、
長年にわたって腰の重さやだるさを訴える方は多いものです。
そして、1年に数度とか、数年に1度、
必ずぎっくり腰を起こすという悩みをお持ちの方もいます。
さて、このぎっくり腰はさまざまなきっかけで起きています。
・ちょっと腰をひねった時、
・椅子から立ち上がった時
・草取りをした後
・物を持った時に「ピキッ」と来た。
また、「朝起きた時に何となく違和感があり、それがだんだん強くなって動けなくなった。」
など、原因はっきりしない場合もあります。
痛みがひどい場合は、歩くこともままならなくなりますし
何とか歩けても、ちょっとした動作で痛みが走ります。
少し良くなって来ても、
「前屈みが出来ない」
「靴下がはけない、ズボンがはけない」
「寝返りができない」
などさまざまな障害がしばらくの間残ります。
これらの痛みは、お尻、仙骨、腰椎付近、
そして背中のあたりと腰から背中で感じます。
多くの場合、これらの痛む場所に
湿布を貼ってこの痛みを何とか緩和しようとします。
そこでトリガーポイントが起こす痛みの特徴である
「関連痛」を思い起こして頂きたいのです。
「関連痛」というのは、簡単に言いますと、痛む場所と原因の場所が違う現象です。
通常は痛む場所に原因があるというのが常識ですが
痛みの原因となるトリガーポイントが、
かなり離れた場所で痛みを感じさせることがあります。
※「関連痛」について詳しく知りたい方は⇒クリック
実はぎっくり腰の痛みもこの「関連痛」の目で見なければなりません。
ぎっくり腰の場合は、ちょっとした動きで痛みを発しますので
動診などで痛みの原因を掴むのが難しそうに感じますが、
ギックリ腰を起こした時の状況や、
痛みを防御する姿勢で、かなり的確に原因筋を把握することが出来ます。
ぎっくり腰を起こした原因がはっきりしていて、それが
「椅子から立ち上がろうとした時」
「草取りをした後で・・・」
「床に落ちた物を拾おうとした時」
などの場合は、腰で強烈な痛みを感じていても
多くの場合腹部や脚の筋に原因があります。
腰の強烈な痛みに目を奪われず
関連痛の目と、筋肉は収縮する時に痛むという原則で
原因となっている筋を見つけることが大切です。
50代以降の女性に多く見られるのが
膝関節の痛みと股関節の痛みです。
このやっかいな痛みには様々な筋が関与していますが
「大腿直筋」「内側広筋」「中間広筋」「外側広筋」の
大腿四頭筋のトリガーポイントが起こす
膝の痛みや股関節の痛みはよく見られます。
この4つの筋の中から今回は内側広筋が起こす
「幼児の夜間痛」を取り上げます。
相談に来られたのは可愛い7歳の女の子とそのご家族でした。
症状は2~3日おきに起きる夜間の足の痛みです。
この症状は3歳頃から始まり、
痛みの為に泣いて眠れないほどです。
もちろん、様々な病院を受診したそうですが、
どこでも原因不明とされて治療の方法がなく
もう4年間もつらい症状が続いています。
幼児では太ももや膝の痛み、お腹の痛みなどが
夜間に起きる事がよくありますが、
いずれも原因不明の「成長痛」とされています。
しかし筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の目でこの症状を見ますと
内側広筋が起こす夜間痛だとすぐに分かります。
彼女に「大腿部で痛みを感じますか?」と聞きますと
「いいえ・・・」というお返事です。
この内側広筋がやっかいなのは
この筋は指圧をするなどの刺激を加えないかぎり
普段は痛みを感じない事が多いという事です。
彼女の場合もこの例に漏れず、
本人は痛みを感じていませんでしたが
内側広筋の中でもトリガーポイントが生じやすい部位に
圧迫を加えますと、顔をしかめて痛みがあることを訴えました。
虚血圧迫を数回加えますと痛みが軽減しましたので
ご家族の方に毎日この筋に優しい指圧をすることと
就寝前に15分ほど温湿布することをお願いしました。
それから数ヶ月が経過しましたが
その後は1回も夜間痛が起きていないというご報告がありました。
彼女の場合3歳頃に起きましたので
「痛い」とい表現をすることが出来ましたが
もっと幼い時期でもこの痛みは起きる事があるとされています。
従いまして、お腹が空いているわけでもない、
おむつが汚れているわけでもない場合に赤ちゃんが夜泣きする場合は
腹部や大腿部のトリガーポイントが起こしている痛みの可能性があります。
小中学生の頃から肩こりや頭痛があったという方がおられます。
子どもさんが訴える片頭痛の20%に腹痛発作(顔面蒼白、嘔気・嘔吐)が伴う事があり、
このような症状を「腹部片頭痛」とか「腹性頭痛」と言います。
しかも大部分の方は、成人になって片頭痛を発症する事が分かっています。
私はこの腹部片頭痛は消化器や腹部の諸筋の緊張が
起こしている可能性が高いと思っています。
実際、強い偏頭痛がある場合、
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)で考えますと
「胸鎖乳突筋」「後頸部の諸筋」「僧帽筋」などのトリガーポイントをチェックしますが
それらのトリガーポイントを緩和しても
ほとんど痛みに変化がない事があります。
このような場合、腹部の諸筋を弛めますと
頭痛がウソのように軽くなることがあります。
また、このような症状を訴える方は
頭痛だけでなく、「腰痛」「肘の痛み」「膝の痛み」など
全身性の痛みを感じておられる方が少なくありません。
これらの症状の機序を次のように考えています。
腹部の諸筋や消化器に緊張があると、
腹圧が上がるため、横隔膜が充分に働けません。
その為呼吸の際、胸郭が充分に拡大せず、
肩で呼吸するようになります。
また腹部の諸筋の緊張は
肋骨を引き下げる事とになりますので
これも胸郭の拡がりを阻害し
肩呼吸をする事になります。
肩で呼吸をすると言うことは
呼吸補助筋の斜角筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋、肩甲挙筋など
首肩の筋を緊張させます。
特に首の後側が強く凝ります。
これらのことは辛い肩こりや頭痛をもたらします。
さらに斜角筋の緊張は、腕への神経や血流を阻害するため
肩、肘、指先の痛みやこわばりを作るようになります。
また腹部の諸筋は腰背部に関連の痛みを作りますので
腰痛や背痛を感じます。
腰背部の筋は臀部や大腿部に痛みを作りますので
やがては臀部や大腿部、股関節、膝などにも痛みが出るようになります。
このようにして、腹部の緊張が
全身性の症状となっている可能性があります。
幼少時から頭痛や肩こりがあった方や
全身性の症状でお困りの方は、
腹部のマッサージやストレッチを行ってみて下さい。
1946年に小臀筋の前方部および後方部トリガーポイントが
下肢の外側面と後側面を下方に下る痛みの原因であることを発見しています。
もちろんいわゆる坐骨神経痛と言われている症状は
小臀筋だけでなく、中臀筋や梨状筋などが起こす痛みも含まれていますので
実際の診断の際は、どの筋のトリガーポイントが関与しているかを診なければなりませんが
60年以上も前から、これらの筋が
お尻や脚の方へ痛みを感じさせる事が分かっていたのです。
本日トリガーポイント研究所に相談に来られた方は70代の女性で、
立っているとお尻から脚にかけて怠さや痛みがでると言うことでした。
すでに3年前に股関節の痛みがひどく
股関節の置換手術を受けられています。
股関節の痛みは無くなったが
腰から脚の痛みは変わらないというご相談でした。
臀部の諸筋に強い緊張がみられ
ハムストリング筋や大腿四頭筋
そして下腿の筋も硬直していて
脚から力が抜けない状態です。
これらの筋に等尺性収縮を行いましたら
ふ~っと緊張が緩みました。
「身体全体が軽くなりました!」と喜ばれていました。
このような症状で困っている方は
全国では相当な数に上ると思われます。
一日も早く全国各地でトリガーポイントに目を向けた
治療が行われる事を願ってやみません。
坐骨神経痛についてはトリガーポイント研修所の
5-2 誤診されてきた筋・筋膜痛 を参照してください。
オステオパシーのテクニックの一つに
「カウンターストレイン」という手技があります。
筋肉が異常を起こしている場合
その起始と停止を近づけて、弛んだ状態にしてあげて
90秒間その位置を保つと、異常緊張が取れ
痛みが緩和するというテクニックです。
このテクニックのすばらしさは
患者さんに負担が掛かりませんし、
即効性があり、しかも治療効果の持続性も高いと言うことにあります。
このカウンターストレインを開発したジョーンズ博士は
『患者が痛いと訴えるところに騙されないようにしなさい。
原因となる圧痛点はその筋ではなく拮抗筋に見つかることが多い。』
と述べられています。
これは痛み治療ではとても重要な視点だと思っています。
トリガーポイントの特徴は関連痛ですが
背中側のトリガーポイントが腹部側へ痛みを感じさせたり
逆にお腹側のトリガーポイントが背中に痛みを感じさせることは
とてもよく見られる現象です。
その意味で、痛いところだけを治療するという方法では
痛みの原因の多くを見逃している事になります。
※「関連痛」については
背中の痛みと関連痛 を参照してください。
先日背部の痛みについて書きましたが
腸腰筋のトリガーポイントも背部痛を作る筋として重要です。
(図はMyofaciai Pain and Dysfunction The Trigger Point Manualより引用)
Ingberは腰椎椎間板異常で椎弓切除術を施したにも関わらず、
持続的な背部痛を訴える患者の腸腰筋にトリガーポイント・ブロック注射を行い、
伸展訓練を行った所、症状が緩和したと報告しています。
(Arch phys Rehabil 70:382-386.1989)
腸腰筋は起立すると痛みが増大し、
横臥時は軽くなる傾向がありますので
そのような状況があるかどうか、
背部痛の診断の時に問診する必要があります。
その他、大腿部前部へも痛みを放散することがありますし
椅子に深く座った状態からの立ち上がる時に
痛みを感じる事があります。
背中の痛みなので、どうしても背部の筋に目が行きがちですが
かなりの割合で腹直筋や腸腰筋の
トリガーポイントが起こしている症例に出会います。
トラベル、サイモンズ両博士が書かれた
「筋痛症と機能障害-トリガーポイント・マニュアル」では
トリガーポイントを不活性化する方法としていくつか挙げています。
①局所麻酔注射(トリガーポイント・ブロック注射)
②ストレッチ&スプレー(TPに冷却スプレーをしながらのストレッチ)
③虚血圧迫
④ストレッチング
⑤深部圧搾マッサージ
⑥マッスルエナジーテクニック
⑦仙腸関節の機能障害矯正
⑧筋膜リリース
もちろんこれ以外にも鍼治療など
トリガーポイントを不活性化するいろんな方法があります。
永続化要因を取り除く
どんな治療法でもトリガーポイントが不活性化されて
症状が緩和されればOKなのですが
最も大切なのは前回書きました「永続化要因」(治りにくい要因)を取り除く事です。
両博士が挙げている「永続化要因」のうち、主なものは次の通りです。
【構造的要因】
①下肢長不等(脚の長さに差がある)
②半側小骨盤(どちらかの骨盤が小さい)
③短い上腕(体幹に対して短い上腕:立位で肘が骨盤につかない)
④モートン足構造(足の第2中足骨が長い)
【生理的要因】
①ビタミン不足
②ミネラル不足
③甲状腺機能低下症
④低血糖症
⑤痛風体質
これらの要因を取り除かないと
筋膜治療に反応し難い、もしくは治療効果が短いとされています。
実際、トリガーポイント研究所に相談に来られる方の多くは
これらの永続化要因を持っておられますし、
長年痛みで困っている方ほど
数多くの永続化要因を持っておられます。
毎日のお手入れが重要
両博士が強調しているのは
このような治りにくい体質を持っている人は
自分で行う毎日のお手入れが重要だと言うことです。
①毎日1回は現在の可動域一杯までストレッチすること。
(温かいシャワーやお風呂で温めながらするとさらに効果的)
②就寝前にトリガーポイントや関連痛が起きているところを
10分~15分温湿布すること。
③テニスボールなどを使って虚血圧迫をすること。
治りにくい体質を持っている方は
これらを実行することで、
痛みが軽減されますし、
トリガーポイントに対する各種の治療法が
より効果的になってきます。
サイモンズ博士が書かれた「筋膜痛と機能障害ートリガーポイント・マニュアル」は
4巻77章の大作ですが、彼らが最も重要視しているのは
第4章「永続化要因」です。
「永続化要因」では分かりにくいので言い換えますと
「治りにくくなる要因」ということです。
私たちの周囲にも、「腰が痛い!」とつらそうにしていたのに
数日もすると何ともなかったかのように、
趣味のスポーツに興じている人がいる一方で
何年も何十年も痛みで困っている方がいます。
彼らはこの治りにくくなる要因を改善しなければ
治療効果が上がらないと強調しています。
トリガーポイントマニュアルからその部分を
ご紹介します。
臨床的重要性
永続化要因を矯正することが重要であることは、
歩道の穴につまづいて下腿の骨を折った男についての
逸話によって示される。
その男は治療を受けて下腿の骨は治癒したが
2ヶ月後同じ穴につまづいて再び下腿を骨折した。
誰もその穴を埋めていなかった。
もしわれわれが「穴を埋める」事なく
すなわち、多くの永続化要因を矯正することなく
筋膜痛症候群を治療すると
患者は治療と再発の果てしない悪循環を運命づけられる。
何ヶ月も、または何年間にもわたって筋膜痛に苦しんだ患者に対して
われわれはほとんどの時間を穴を埋める事に費やす必要があると考えている。
第4章(永続化要因)は本書の中で単一の章としては
最も重要であり、
筋膜痛症候群の治療において
最もなおざりにされてきた部分を取り扱っている
「特定の筋膜治療の効果はどの期間持続するか?」という質問に対する答えは
どのような永続化要因が未解決のまま残っているのかによって大きく左右される。
(後略)
私はこの部分を読んだ時はとても大きな衝撃を受けました。
常々「治り易い方と治りにくい方がいる」とは感じていましたが
さまざまな要因を多大な時間と労力をかけて明らかにされた
両博士に敬意と感謝の気持ちで一杯です。
この事を知って以来、
トリガーポイント研究所では痛みの相談に来られた方に
構造的要因や生理的要因をチェックして、
その改善措置をアドバイスしていますが
「身体の感じがかなり変わりました」と喜ばれる事が度々あります。
特に甲状腺機能低下症は
現在の基準では正常範囲とされている方の中に
筋痛が治りにくくなる方がいるため
発見がされないまま長年痛みで苦しんでおられます。
さらに筋痛症と甲状腺機能低下症との関連を知っておられる医療関係者の方が少ないため
基準値内では治療が受けられないという場合もあります。
熊本の甲状腺専門医 田尻先生のサイトでは
甲状腺の様々な文献を紹介されていますが
その中には筋痛症と甲状腺機能低下症にいての論文もかなりあります。
田尻先生からリンクの了承を頂きましたので紹介させて頂きます。
田尻クリニック⇒ 情報源⇒ 患者情報[039] 甲状腺機能低下症の「症状」としての線維性筋痛の痛み
全く同じような症状で当研究所に相談に来られました。
症状は「背中の強い痛み」です。
「どの辺りが痛まれますか?」と尋ねますと
お二人とも肩胛骨の下端から少し下がった辺りを
手を背中に回して指さしされます。
70代の女性は仰向けに寝ようとする時に強く痛み
真っ直ぐに寝てしまうと痛みはなくなります。
また、寝返りを打とうとしたり、起き上がる時にも強く痛みます。
その痛みの為、近くの整体院で施術を受けたそうです。
痛む辺りを押して頂くととても気持ちよく
「これで治るかも知れない・・・」と思ったそうですが
施術後に起き上がるときには今までと同様に痛んだという事です。
このような症例は何度も診てきましたので、
すぐに「腹直筋」のトリガーポイントが起こす関連痛だと判断できます。
背中の痛みの代表は腹直筋で、その他広背筋や後鋸筋なども候補になりますが
「寝返りを打つときに痛む」という場合は
腹直筋のトリガーポイントが起こしている事が多いように感じています。
このような痛みで来られた方に
「原因はお腹側にあると思います」とお伝えしたら、
多くの場合、「え~???」(そんなことはないでしょう・・・)
というような表情をされます。
そこで、「関連痛」の説明を必ずするようにしています。
「トリガーポイント・マニュアル」で図示してある関連痛の中で
もっとも遠くまで痛みを放散するのはヒラメ筋のトリガーポイントが起こす関連痛で
なんと同側の頬に痛みを作ります。
この例やアイスクリーム頭痛のお話しをして
関連痛に対する理解を深めていただきます。
その上で腹部の筋に強い痛みを発するトリガーポイントが見つかり
そのトリガーポイントを不活性化すると
背中の痛みがウソのように無くなる経験をされると
関連痛を、身を以て理解されるようです。
関連痛の現れ方を学ぶことが
原因筋の把握には大事なことなのですが
痛みの原因となっているトリガーポイントを
的確に見つけ出す触診技術はさらに重要です。
この腹直筋のトリガーポイントは仰臥位では見つかり難いことがあり
座位であれば的確に見つけ出すことができます。
今回は誰でも参加できるようにして頂いていますので
mixiの入会資格をお持ちの方は是非ご参加下さい。
http://mixi.jp/view_community.pl?id=4534759
私たちが医療機関を訪れるきっかけは
「痛み」が最も多いと言われています。
しかし、その痛み医療が日本ではかなり立ち遅れています。
愛知医科大学・痛み学講座のホームページには
「日本の痛み医療は20年遅れています」
と書いてありますが、実際その通りだと思います。
※愛知医科大学痛み学講座へ⇒
実際「痛み」というのはとても複雑で
未だに解明されていない事が多くあります。
痛み医療を難しくしている原因の一つに「関連痛」があります。
「神経痛」はよく耳にしますが、「関連痛」という言葉を知っている方は少ないでしょう。
ある場所を刺激すると、痛みが遠隔部に放散する現象の事で、
神経の走行に沿って発現しないので、
「神経痛」とは言わず「関連痛」と呼ばれています。
今回はこの「関連痛」を取り上げました。
1,痛む場所に痛む原因がある場合。
2,他の部位の痛みを感じている場合。
3,痛む場所にも原因があり、他の部位の痛みも感じている場合。
「2,他の部位の痛みを感じている場合。」
この事は痛み治療ではとても大切なことですが
見落とされている事が多いのです。
この痛みは通常の神経の走行に沿って起きないので
「神経痛」とは言わず「関連痛」と呼ばれています。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』には
次のように書かれています。
「関連痛(かんれんつう、Referred Pain)とは、
ある部位の痛みを異なる部位の痛みと脳が勘違いをすることによって発生する。
人体に存在する神経は、枝分かれをして各所に伝わっているため、
脳は同じ神経束を源とする場合や、隣接する神経束の信号伝達を
痛みが発生している場所と勘違いをする場合がある。
例えば、かき氷を食べ、咽頭神経が刺激される事により発生した信号を、
後頭部またはこめかみの痛みと誤認知すること。
これはアイスクリーム頭痛(icecream headache)とも呼ばれる。」
ここに書いてあります、「アイスクリーム頭痛」であれば
多くの方が経験しているので「関連痛」という現象を理解やすいでしょう。
しかし実はこの「関連痛」はアイスクリームを食べた時だけでなく
いろんな所で起きています。
例えば、肩こりの筋肉と言われる肩の「僧帽筋」にしこりができますと偏頭痛を起こしますし、
大腿部の「大腿直筋」にしこりができますと、膝関節で痛みを感じます。
多くの方は、このように「偏頭痛」が起きたときは、頭を押さえたり冷やしたりしますし、
膝が痛むと膝をマッサージしたり湿布を貼ったりするでしょう。
しかし実際は頭や膝に原因があるわけではありませんので
さっぱり効かないという事になります。
そしてこの「関連痛」の事が、現在の医療機関では見落とされていますので、
何ヶ月も、何年も通院しても腰痛や膝の痛みが改善されないという問題が生じています。
筋のトラブルに目を向け、「関連痛」という視点で痛みを診ると
早期に改善するはずの痛みを、現代医療は慢性化させ
痛みで苦しむ方の生活の質を低下させてしまっています。
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趣味は五十の手習いで始めた写真撮影。
カイロプラクティック、オステオパシー、整体法、心身医学などの研究を通して、故ジョン・F・ケネディ大統領の主治医だったトラベル博士と、航空宇宙医学の研究者だったサイモン博士が発表した「筋膜痛と機能障害」の論文に出会い、トリガーポイントの存在を知る。
その後、トリガーポイント・ブロックで治療を行われている、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生に出会い、痛みの原因がトリガーポイントにある事を確信する。
トリガーポイントの考え方を整体法治療プログラムに取り入れた、「トリガーポイント整体法」と、自分で痛みを軽減する「トリガーポイント・エクササイズ」を開発し、後進の育成に力を注いでいる。
また、トリガーポイントの事を多くの方に知って頂く事が、痛みで苦しんでいる方々に光と希望を与え、痛みを軽減する事になると、講演会などを通じて啓蒙活動を行っている。