2011年4月9日(土)、愛知県名古屋市で一般の方を対象として「痛みが楽になるセミナー」を開催します。
2011年4月10日(日)に同じく名古屋市で、「痛みとトリガーポイント治療のワークショップ」を行います。 これは今回初めての企画ですが、治療家の方を対象として、痛み治療のあり方についてのワークショップを開催します。
「コペルニクス的転回」と呼ばれるのは、パラダイムシフトの例として、古代から信じられてきた「天動説」が「地動説」に変わったという歴史がよく知られているからでしょう。
Wikipediaにもパラダイムシフト例としてこの事が挙げられています。
まず旧パラダイム(例:天動説)が支配的な時代は、多くの人(科学者)がその前提の下に問題解決(研究)を行い、一定の成果を上げるが、その前提では解決できない例外的な問題(惑星の動きがおかしい)が登場する。このような問題が累積すると、異端とされる考え方の中に問題解決のために有効なものが現れ、解決事例が増えていくことになる。そしてある時期に、新パラダイム(地動説)を拠り所にする人(科学者)の数が増えて、それを前提にした問題解決(研究)が多く行われるようになる。以後、以上の動きが繰り返される。
地動説は紀元前280年にアリスタルコスが科学的レベルで説明し、コペルニクスの登場まで1800年間はこの説が信じられていたようです。
コペルニクスが「天動説」を1510年に発表しましたが、その説はなかなか受け入れられる事無く、ケプラーの「ケプラーの法則」や1687年にニュートンが「自然哲学の数学的原理」を発表する頃までは定説では無かったようです。そうしますと天動説が発表されて定説のなるまで180年近くかかっている事になります。
では、これを「腰痛」にあてはめてみましょう。
腰痛の原因として「椎間板ヘルニア説」が世に現れ手術が始まったのが1932年と言われています。これを「腰痛の地動説」としましょう。
Wikipedianiの「パラダイムシフト」の説明にもありますように、この手術は「一定の成果」を上げた為その後も支持され現代まで引き継がれて来ています。
一方、トラベルとサイモンズが筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の書籍を発表し、痛みの多くが筋筋膜のトラブルであると発表したのが1983年で、これを「腰痛の天動説」としますと、今年は2011年ですから、すでに28年が経過したことになります。
腰痛が椎間板ヘルニアなどの構造的な異常が原因ではなく、筋筋膜のトラブルであるという説が社会的に認められるようになる「腰痛のパラダイムシフト」はいつ起きるのでしょうか?
天動説が地動説に変わらなくても、我々庶民の生活にはあまり影響がありませんが、「痛みのパラダイムシフト」は一日でも早く行われなければ、痛みで苦しみ、生活の質が低下して困っている方は増え続けます。
私たちは新パラダイムである「筋痛説」での解決事例を世に多く提示し、これを拠り所とする医師や治療家の数を増やさなければなりません。
さらに重要なのは、変性として知られているものの意味が、
かなり曖昧に思われる事である。
四肢の関節には、股関節症や膝関節症といった、
誰もがその臨床的な重要性を疑わない破壊的な病変が起こるが、
その一方で不可避的な「すり切れ(wearand tear)」と呼ばれるような変化や、
また側弯症や過度運動性のような代償性の過程や順応といったものも起こる。
脊椎すべり症の場合、大きな骨棘が整形外科的手術よりも
脊柱の安定化効果をもたらすことがある。
また、外傷によって生じた変化は
変性と呼ばれるものに非常に似ている事がある。
従って我々は変性の個々のケースについて、
その変化が臨床的に有意なものであるか否かを慎重に考察するべきである。
X旋写真に変性がみられると言うだけで臨床的な結論にいたるのは軽率である。
(中略)
腰痛やその関連疾患に関係していることが多い形態学的変化を再確認してみると
こうした変化は、私たちが目にする大多数の患者の訴えを説明していないのは容易にわかる。
このことはまた、このタイプの患者が「突発性腰痛」
あるいは「異常を伴わない痛み」
さらには「診断のつかない痛み」(非特異的腰痛:Jayson,1970)と
あいまいに表現される理由でもある。
しかし、こうしたタイプの患者の数の大きさを考えれば
このような状態が続くことは臨床医学の信頼性にとって由々しき事態である。
以上 引用終了(下線は佐藤)
構造的な変性は加齢と共に増加しますので、中年以降の方が痛みで医療機関を受診すれば
何らかの異常は見つかります。
しかし、見つかった構造的な異常が、「痛み」とは関連性がない場合も多く
的外れな治療が続くことになります。
カレル・ルイ氏の指摘をわれわれは重く受けとめなければならないと思います。
下図をご覧下さい。これはTMS-Japanの長谷川淳史先生が開催されています「TMSメソッド」のデータです。
腰痛患者(200名) | 健常者(200名) | |
脊椎すべり症 | 1.5% | 2.5% |
腰椎移行椎 | 13.5% | 9.5% |
潜在性二分脊椎 | 3.0% | 26.0% |
椎間狭小 | 21.5% | 31.0% |
変形性脊椎症 | 20.0% | 34.0% |
脊柱側弯症 | 30.0% | 45.5% |
腰椎前弯過剰 | 1.0% | 2.5% |
腰椎前弯減少 | 22.0% | 22.0% |
骨粗鬆症 | 1.0% | 2.5% |
椎体圧迫骨折 | 0.0% | 10.5% |
このように、「腰痛患者」と「健常者」のデータが入れ替わっているんじゃないか?と言いたくなるほど、腰に痛みを感じていない「健常者」でも、腰椎の変性は多く見られるのです。
かと言って、人体の複雑精緻な機構のすべてが明らかになっているわけではありませんので、「関連性がない」という証明もできません。
これらのことについて、京都市の江原鍼灸整骨院を経営されている江原吉昭先生がブログに書かれていますので是非ご一読下さい。
]]>パソコンに向かって長時間仕事をした後や遠方までドライブをした後に感じるこわばり(運動制限・ブロック)をほぐすために、背伸びをしたり、軽く身体を捻ったりすることを私たちは日常的によく行っています。
このようなちょっとしたこわばり感は誰しも経験しているありふれた現象です。こういったこわばりは、休息したり軽い運動をする事で通常は治まって行くのですが、それがいつまでも残るようになり、さらに他の部位へ拡がって、トリガーポイントが生じ、痛みを感じるまでに進む事があります。
パソコンに向かった仕事を続けたり、長時間の運転をすると言うことは、同じ姿勢を強いられる為に、姿勢を維持するために働く姿勢筋が酷使されます。近代の社会生活は、この姿勢筋を酷使することが多くなっていますので、腰や肩に違和感や痛みを感じる方も多くなっています。
同じような仕事をしていても、腰や肩にコリや痛みを感じない方もいれば、短時間でも辛くなってしまう方がいます。この違いは何でしょう?
私たちはいつの間にか獲得した特徴的な動きや姿勢の癖(パターン)を持っていますので、遠くを歩く家族や友人を見分ける事ができます。 また、足首を捻挫したり、怪我をしたりすると、その痛みをかばうために違った運動パターンを身につけてしまう事もよくあることです。
このように、いつの間にか獲得した運動パターンが、筋に負担が掛からない合理的な動きや姿勢であれば良いのですが、不合理な動きや姿勢を身につけてしまっている人は、こりや痛みがなかなか治りにくく慢性化してしまいます。
身体にこわばり(運動制限・ブロック)が生じ、治りにくくなる要因はいろいろありますが、最も大きな要因はこの「いつの間にか身につけた障害された運動パターン」です。 これは脳によって制御されているパターンですので、気づくことが難しく、正しい動きにリセットするためには、自らが行う運動療法が最も有効です。
ヨガやストレッチなど様々な運動療法がありますが、脳と身体の情報交換を通じて、障害された運動パターンを修正するには、「フェルデンクライス・メソッド」がお勧めです。できるだけ力を使わず、できるだけ小さな動きをすることで、筋の微細な感覚を脳に伝え、誤った制御を書き換えて行くのです。
トリガーポイントに着目して筋の状態を正常化して行くエクササイズにプラスして、脳と身体の情報交換を通じて、傷害された運動パターンを修正して行くエクササイズを行えば、痛みやコリが軽減され、さらに代謝の良い身体へと変化して行きます。
このようなエクササイズを学べる所が京都市でスタートしています。
痛みやこりで困っておられる方は一度体験されて下さい。
2010年12月スタート⇒ 名倉堂接骨院:トリガーポイント・エクササイズ講座